その専門性の高さから「未経験では無理」と諦めたり、尻込みしたりしてしまう人も少なくなさそうですが、未経験からでもかんたんにエンジニアにはなれるのでしょうか。
結論は、戦略を立てれば、もちろん未経験でもエンジニアにかんたんになれます。
この記事では、未経験者がITエンジニアを目指せる理由から方法までをわかりやすく解説していきます。
未経験からでも戦略次第でITエンジニアになれる2つの理由
未経験でもエンジニアを目指せる理由は、大きく2つあります。
②教育する環境が整っている
IT人材が不足している
一つ目の理由が、IT人材が不足していることです。
経済産業省が発表しているIT人材受給に関する調査の結果によると、IT需要が今後一層高まった場合、2030年までに、IT人材はおよそ79万人不足するといわれています。
単純に、業界全体で人材が不足傾向にあるため、広く人材募集の間口をとっているということです。
昨今の少子高齢化問題から、企業は人材不足や採用に悩まされていることもあり、未経験者であってもまずは採用をしてから、仕事を通じて育成しようという傾向が強まっています。
参考:経済産業省「平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」
教育する環境が整っている
人材不足から「採用してから育てる」という傾向は数多く見られます。
未経験者OKのITエンジニア求人情報において、研修制度の充実を宣伝した求人を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
未経験者であっても、給料をもらいつつ、業務内で必要最低限の知識やスキルを身につけられるという、制度の充実を図っている企業は増えています。
未経験からITエンジニアになるための戦略
未経験からでもITエンジニアは目指せますが、就職・転職する前に準備をすることで、就労スタート時からスムーズに仕事が始められます。
ここでは、未経験からITエンジニアになるうえで準備しておくことを3つ紹介していきます。
基礎知識習得のための資格取得
「IT関連の基礎知識がまったくない!」という人は、資格取得を通じて、基礎知識を身に着けることをおすすめします。
IT関連の基礎知識を網羅的に学習できる資格では、ITパスポートや基本情報技術者試験が代表的です。
さらに、資格試験に合格していれば、未経験ながらもIT技術を身につける意欲があることをアピールできるので、就職・転職活動の場においても有利に進められるでしょう。
特に、基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして就職してからも取得を推奨する企業が多い登竜門的な資格でもあるので、事前に取得しておくと評価に繋がります。
目指すエンジニアの種類を決める
ITエンジニアと一括りにされがちですが、その種類は非常に多く、必要なスキルや知識も大きく異なります。
ITエンジニアの就職・転職する際には、自身がどの種類のエンジニアを目指すのか決めておかなければなりません。
エンジニアは「開発エンジニア」「インフラエンジニア」「Web系エンジニア」の3種に大別できるので、まずはこの3つを調べることから始めるのがベストです。そこから、たとえばインフラエンジニアの中でも、昨今重要視される「クラウドエンジニア(さらにAWSエンジニアなのかAzureエンジニアなのか…など細分される)」とは何なのかなど、興味があるタイプのエンジニアを深堀していくとよいでしょう。
自身がやりたいことはもちろん、未経験からでも目指しやすいかどうかなども考慮しながら選んでいきましょう。
実際にプログラミングしてみる
資格取得をはじめ、座学による基礎知識の習得だけではなく、そこで学んだ内容をもとに実際にプログラミングしてみることも重要です。
- 開発エンジニア:ツールやアプリ開発
- インフラエンジニア:ネットワークやサーバ構築
- Web系エンジニア:Webページ制作、Webアプリ開発
必須とはいえませんが、実際に開発や構築を行うことで、知識が定着することはもちろん、ITエンジニアの仕事がどのようなものなのか体験できるため、ベターといえます。
自身に適正があるのかどうか、向き不向きも見えてきます。
また、目指すITエンジニアの種類によっては、就職・転職活動において、ポートフォリオの提出が求められることもあるので、要点を押さえてしっかりと作りこんでいきましょう。
ITエンジニアに向いている人の特徴
未経験からでも目指せるITエンジニアですが、活躍できる人材になるためには、適正も重要です。
ここでは、ITエンジニアに向いている人の特徴を4つ紹介しておきます。
勉強を続けられる
ITエンジニアに就職・転職したらゴールではありません。
IT技術の進歩は目まぐるしく、想像以上に次々と新しい技術が登場するため、常にアンテナを高く張り、即座に対応する必要があります。あるいは、今後のキャリアアップを目指すのであれば、新技術でも既存環境に応用させられる柔軟性が必須です。
また、担当できる業務を増やせれば、そのぶんキャリアアップも早まります。そのための学習も必要でしょう。
あらゆる職種において同様のことがいえますが、ITエンジニアは特に学ぶことが多いので、ひたすらに勉強し続けられる人は、より向いているといえます。
トライ&エラーが苦にならない
システム開発の現場で、一度で想定通りの結果が得られることは稀であり、構築後の動作検証、検証結果から修正と再検証といったように、何度も確認作業を行います。これは、人的災害を起こさないために必須な作業です。
同じ作業を繰り返し行うことに抵抗がない人は、適正があるといえるでしょう。
論理的思考力がある
ITエンジニアとして働くために、プログラミングスキルが高いことが注視されがちですが、論理的思考力があることも重要です。
- 要件定義や仕様書・設計書の作成
- クライアントから求められている内容をプログラムに変換する
- 不具合の原因を調査・分析する
上記は一例ですが、ITエンジニアの仕事において、論理的思考力が必要な場面は多々あります。
丁寧な作業ができる
ITエンジニアの仕事の中には、ミス一つで大規模な事故が起きてしまうような業務も少なくありません。
たとえば、金融系のサーバが操作ミスによって止まってしまったら、あらゆる機関や人に対し影響を及ぼし、損害賠償の発生や、最悪の場合業務自体が停止する恐れもあります。
あるいは、稼働前のシステムにおいても、十分な検証が行われていなかった場合、リリース後に重大な失陥が見つかるケースもあるでしょう。
同じ作業を繰り返すうち、「いちいち手順書を見なくても大丈夫」といった惰性的考えも出てくることでしょう。しかし、このような横着から重大な事故につながってしまうのです。
顧客ニーズに応える高い品質を保つためにも、丁寧な作業ができる人は、ITエンジニアに適しているといえます。
未経験からエンジニアは目指せるが、ちゃんと戦略を立てよう
専門性の高さから、敬遠する人も多いITエンジニアですが、IT人材の不足や教育環境が整ってきたことで、未経験からでも比較的かんたんに目指せるようになっています。
ただし、しっかりと戦略をもって就職・転職を目指しましょう。
研修してもらえることに甘えず、就職・転職する前に資格取得や実際にプログラミングをしてみることも重要です。
こうした事前準備は、単に就職・転職活動を有利に進められるようになるだけではなく、自身にITエンジニアとしての適性があるかを確認するのにも役立ちます。
これから未経験でITエンジニアを目指す人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。