5G(第5世代移動通信システム)の出現によって、それまで「人」のみが受けていた移動通信システムの恩恵を、これからは「あらゆるモノ」が受けられるようになります。
5Gの世界は、人々の生活をどのように変化させるのでしょうか。今回は、5Gの概要をいくつかの節に分けて、分かりやすく解説していきます。
その前に、プロローグとしてまずは、5Gが普及した未来を少しだけのぞいてみることにしましょう。
今回は、休日を楽しむ、あるライブ好きの女性に密着します。
ライブ好きなアヤカ(20代)の一日
今日は土曜日。事務職を務めるアヤカは休日を謳歌するつもりです。
夕方から友達と好きなアーティストのライブに行く予定がありますが、開始までにはまだ余裕があります。
アヤカは、ショッピングに行ってからライブに行こうと考えました。
【午前】5Gによってあらゆる製品やサービスがつながる
朝食をとり終え、午前中は部屋の掃除をしようと思います。
アヤカはまず、スマートフォンに向かって
「何か音楽をかけて」
と話しかけます。スマートフォンも反応し、音楽が流れ始めます。ブランチの時間にふさわしい、さわやかな音楽が聴こえてきました。
同時に、お掃除ロボットにも声をかけます。
「リビングの掃除をお願い」
すると、
「ピピッ、承知しました。リビングの掃除を開始します」
とお掃除ロボットが反応します。自動で消音モードが選択され、ほとんど吸い込み音は聴こえません。
アヤカは気分よく、身支度を始めました。
IoT化のさらなる促進時間のみならず、場所や空間、天気など、環境に適したサービスを提供する家電も増えるでしょう。また、5Gによってあらゆる製品やサービスが紐づくことで、一方で選択したことがほかの製品に結びついて、ユーザーに最適な結果をもたらしてくれます。
【お昼過ぎ】ゲートを通るだけで支払いが済む世界
身支度を終えたところで、掃除も終わったようです。
アヤカは「ありがとう」とお掃除ロボットに声をかけ、家を出ました。
電車を乗り継ぎ、街に着いてウインドウショッピングを楽しんでいると、ある書店に目が留まります。
「そういえば今月号買っていなかったな」と、毎月購入しているファッション誌を探しに店内に入りました。
入口のゲートを通ると、「ピッ」とスマートフォンを認証した音が鳴ります。そのままお目当ての雑誌を手に取ると、アヤカは書店を後にしました。
【夕方】ライブ映像をマルチアングルで楽しむ
さて、時間も良い具合になり、アヤカは待ち合わせ場所まで向かいました。
友達と合流をし、そのままライブ会場に入ります。もちろん、ここでもチケットが自動認証されています。
さっそく席を探す2人ですが、ドーム型の会場で思ったよりも広く、なかなか自分たちの座席がどこにあるのか分かりません。仕方なく誘導スタッフに聞こうかと思ったそのとき、スマートフォンに通知が届きます。
「あなたの座席は東側にあります。E-5番出入口が最も近いと推測されます」
2人はE-5番出入口まで急いで向かい、ライブ開始にも無事に間に合いました。
認証の高度化part2
このシーンでは、会場に設置されたカメラが2人の挙動を感知し、「迷っている」と判断してスマートフォンに的確なメッセージを送信しています。
いよいよライブスタートです。
しばらくライブを楽しんでいると、2人が大好きな曲の演奏が始まりました。2人の熱も最高潮、大盛り上がりです。
アヤカは特にこの曲のギターソロが大好きでしたが、この席からではどうやら見えにくいようです。
「そういえば」と思い、アヤカはおもむろにスマートフォンを取り出しました。このアーティストは、チケットを購入した来場者に、マルチアングルによるライブ配信もしており、さまざまな角度からライブを楽しめるようにしていたのです。
アヤカはこの楽曲だけはスマートフォンで楽しむことにし、ギターソロを思う存分楽しみました。
【夜】レコメンデーションのさらなる充実
素晴らしい時間を過ごした2人でしたが、そろそろ帰宅の時間です。
2人は別れを告げて、別々の電車に乗ります。アヤカは帰宅途中、興奮が冷めやらずに、電車の中で今日のライブ映像をもう一度楽しんでいました。
ひとしきり見終わると、このアーティストのファンが好む、別のアーティストのライブ情報がおすすめとして表示されました。
アヤカはさっそく友達に「来月はこのライブに行こう!」と誘います。友達からはすぐにOKの返事が。
アヤカがライブの予定をスケジューリングすると、自動的にその時間に最適な電車の乗り換え情報も登録され、アヤカはまた来月のライブを楽しみに、帰路につくのでした。
5Gが見せるのは、あらゆるモノがつながった未来
5Gによって、あらゆるモノが等しく移動通信システムの恩恵を受けることができます。
その結果、「人」も「モノ」も、あらゆるサービスや製品が紐づいて、より有益な世界へとつながっていくでしょう。新しい「つながる世界」は、もうすぐそこまできています。